「農業神話 」

「神話」とは、われわれが確たる根拠はないが、何となく真実であろうと信じている事である。
しかし、よくよく調べたり、聞いたりしていくと本当なのかと怪しく思うことも多い。

最近、農業関係の仕事を手がけるようになり、これは「神話」ではないかと思えることに遭遇することが増えた。

 

①「朝採り野菜」の神話
スーパーなどに行くと、野菜のコーナーで、大きく「朝採り野菜」と書かれ、収穫し提供する栽培者の名前や写真まで出ている野菜がある。
朝収穫したと謳われるその野菜は、いかにも新鮮で栄養豊富なイメージだ。
栽培者が顔写真いりで請け負っているのだから、「間違いない!」と消費者は考える。

しかし、「食と栄養 常識の落とし穴」という加藤秀夫先生の書では、
「朝採り野菜」は、新鮮さはともかくとして、すべての野菜が無条件で栄養豊富とは
ならないと指摘されている。

その理由は、光合成である。
植物は、日中光合成を行い栄養を蓄積し、夜にその栄養の一部を消費する。
従って、ほうれん草、レタス、キャベツなどの「葉物野菜」は、その葉の部分に夕方が一番栄養が豊富となる。

そこで、これは「夕採り」が一番となる。

一方、ニンジン、ジャガイモ、キュウリなどの「根菜」ものや「実」のなるものは少し事情が違う。
これらは、夜の間に、昼間得た栄養がその根や実に蓄えられる。
つまり、朝が一番栄養が豊富だということである。そこで、これは「朝採り」が一番となる。

結果として、栄養的には、「葉物」は「夕採り」、「根菜や実」は「朝採り」が一番となる。
単純に朝採りが一番ではないのである。


②「陰干し米」の神話
コメの販売をしていると、そのコメは「陰干し」ものですかと問われることがある。
陰干しとは、収穫した稲を、田んぼにしつらえた木や竹で組んだ棚に、収穫した稲を左右に振り分けて掛け自然の陽光で乾燥させる方式である。
確かに自然の光をたっぷりと浴び、いかにも健康的で美味しいコメになりそうである。

将来はともかく、現在の私どもが扱っているコメは、「陰干し」ではない。

これはまだ研究中なのではっきりとは言えないが、「陰干し」の場合、その湿度の管理がかなり難しいのである。
一般的に、稲を収穫し籾として保管する場合、最適といわれる湿度(水分量)がある。
自然の日光と天候に頼る「陰干し」の場合、その「湿度管理」が難しいのである。

具体的に言えば、湿度が、田の位置、日中の日当たり、その期間中の天候に左右される。
例えば、東西にきちんと位置し、周囲がさえぎるもののない平地の田なら、ほぼ均等に日光があたることになる。
これが南北に位置したり、時刻により周囲の山や木で陰になったりする田なら、時刻により日光量は異なる。
また、一日のうちでも、曇ったり晴れたりで、稲に当たる日光量は異なる。
さらに、陰干しする期間の天候にも左右される。途中晴天つづきであればまだしも、晴れ、雨、曇りが入り混じると日光量は異なる。

さらに、また陰干し棚の右側と左側で、稲にあたる日光量が異なってくる。手間をかけて、こまめに陰干しの左右を入れ替えたりすればいいのだが、実際上は不可能である。

加えて、「陰干し」の一番の問題点は、湿度測定を人の感に頼ると言うことである。
湿度を普通の人の勘で測るのは無理であり、不安定極まりないのである。

私どもの場合、収穫した稲から脱穀して得た籾は、自動乾燥機を用いて、最適といわれる湿度にセットして乾燥させている。そして、籾の品質を安定させるのである。

品質を安定させるには、コンピュータ制御の「自動乾燥」が、人間の勘に頼る「陰干し」に勝るのである。
ただし、将来は、現在の「陰干し」の弱点を克服できる手立てが見つかれば、自然の日光のみを用いた陰干しに挑戦したいと考えてはいる。


 

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