「時を告げるラクダ」

あるアラブの国を、アメリカ人のツーリストを乗せたバスが走っていた。

バスは、ランチのために、あるキャラバンサライ(隊商宿)のレストランに停まった。

エキゾチックなアラブの風習や沙漠の壮大な景色に、好奇心旺盛なアメリカ人のツーリストはご満悦だった。

ふと、一人のアメリカ人が、レストランの窓の外を眺めると一人のラクダを連れたアラブ人のラクダ使いが、 ナツメ椰子の木のもとで休んでいた。

注意してみていると、そのラクダ使い、他のアラブの旅人が、時刻を聞いているようだ。
彼は、座り込んでいるラクダの腹に手を当てて、その後、聞かれた人に時刻を教えている。

びっくりしたアメリカ人は、好奇心にかられ、彼のもとに行き話しかけた。
「今何時かな?」

ラクダ使いは、ラクダの腹に手をあてて、じっと眺めた後、片言の英語で答えた。
「ダンナ、いま、1時5分過ぎアル。」

アメリカ人は、ポケットに隠した腕時計を取り出して確かめた。
確かにそのとおりなのである。

彼は、急いで、レストランに戻り、それを仲間のツーリストに話した。

ニ、三人が好奇心に駆られて、ラクダ使いの周りに集まった。
時刻を聞くと、ラクダ使いは、ラクダの腹に手を当てて、そのあと、正確な時刻を彼らに伝えた。
彼らは、すっかり不思議なラクダとそのラクダ使いに感心してしまった。

ラクダ使いは、さらに、ラクダの口に耳を寄せたあと、彼らに言った。
「ダンナたち、ラクダが言っているアル。」
「ダンナたちは、あと一時間もすれば、2匹のロバを引いた老人に出会うアル。」

アメリカ人たちは、バスに乗り込んだ。

沙漠の一本道をツーリストバスが走っていると、向こうから、2匹のロバを連れたアラブ人の老人に行きかった。

アメリカ人たちは、すっかり感激した。
バスをいったん停め、その2匹のロバと老人の写真をとり、満足な面持ちで語り合った。
「やはりこのアラブの地は不思議に満ちている。」
「時を告げ、予言できるラクダを見たことは、この旅行の最大のファンタジーだ。」

ロバと老人は、やがて、あのキャラバンサライに着いた。
椰子のもとに居たラクダ使いのもとに行くと、老人は言った。
「今何時かな?」
「途中で、妙なアメリカ人の連中に写真をとられて、約束より少し遅れてしまったようじゃ。」

ラクダ使いは、ラクダを立ち上がらせ、その下から、懐中時計を取り出した。
「日差しが強いから、ラクダの腹が適当な日陰じゃからな。」
「お前さんがロバに積荷を乗せて運んでくるのは、いつものことじゃしな。」
「アメリカ人の連中を少し、からかってやったのじゃ。」

そして、二人のアラブ人は、単純なアメリカ人に大笑いした。

  • ニュース&トピックス
  • 事業内容
  • 会社概要
  • アクセス
  • ユーモア
  • 奇談
  • お問い合わせ
  •  
  • パソコン診断
  •  
  • 産直都城
  •  
  • お米 ひのひかり